(438)森に入るやうに本屋へ雪催/篠崎央子(1975年~)
リズムから「入(い)る」と読みたいです。雪催(ゆきもよい)は雪が降り出しそうな冬の曇り空のこと。コートを厚く着て息を白くさせながら街を歩いていると、ふと目に留まった書店に足が向きました。まるで小道から木々の生い繁(しげ)る森へと入るようです。森には葉を落とした木々や常緑樹、たくさんの落ち葉があるよ…
関連リンク
- ・(437)もがり笛風の又三郎やあーい/上田五千石(1933~1997年)
- ・(436)橙(だいだい)の灯いろしぼれり牡蠣(かき)の上/飴山實(1926~2000年)
- ・(435)激流の音のみがあり冬すみれ/澤好摩(1944年~)
- ・(434)快晴やわつさやつさと大根畑/宮本佳代乃(1974年~)
- ・(433)二年(ふたとせ)や獄出て湯豆腐肩ゆする/秋元不死男(1901~1977年)
「秀句の泉」は、俳句の魅力を伝えます。執筆は俳人の永瀬十悟さん(福島県須賀川市)、浅川芳直さん(宮城県名取市)、及川真梨子さん(岩手県奥州市)の3人。古典的な名句から現代俳句まで幅広く取り上げ、句の鑑賞や季語について解説します。