(439)一本の枯木となりてあらがえり/湊楊一郎(1900~2002年)
この「枯木となりて」の主語は誰だろう。まず考えられるのは、冬になり葉を落とした木で、あらがっているのは厳しい冬の寒さに対して。もう一つ考えられる主語は、作者その人。枯木とは、理不尽な差別や格差にある社会的弱者ではないだろうか。作者は弁護士でもあり、裁判でそのような弱者が不当に権利を侵害されないよう…
関連リンク
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「秀句の泉」は、俳句の魅力を伝えます。執筆は俳人の永瀬十悟さん(福島県須賀川市)、浅川芳直さん(宮城県名取市)、及川真梨子さん(岩手県奥州市)の3人。古典的な名句から現代俳句まで幅広く取り上げ、句の鑑賞や季語について解説します。