尚絅学院不正流用 業務上横領の疑いで元常務理事の男逮捕 1億円を自分の口座に入金か
尚絅学院大などを運営する学校法人尚絅学院(宮城県名取市)の不正流用問題で、宮城県警岩沼署は25日、業務上横領の疑いで、法人の元常務理事で無職の男(67)=東京都西東京市=を逮捕した。
逮捕容疑は財務担当だった昨年6月7日、法人から預かっていた額面1億円の小切手1通を現金にして自分の口座に入金し、横領した疑い。仙台市太白区の地方銀行の支店から自己名義の都市銀行の口座に送金したという。署によると容疑を認めている。
法人によると、容疑者は昨年6月7日~7月4日に計4回、同様の方法で計3億5000万円の不正送金を繰り返した。発覚を免れようと、金融機関の預かり証も偽造して法人職員に提出した。
署によると、容疑者は飲食店で知り合った人物から仮想通貨のもうけ話を持ちかけられ、横領した金を投資に使った。「現金化するには金が必要」などと次々と追加資金を要求されたという。
7月の法人の会議で多額の使途不明金が発覚。法人は9月に容疑者を解雇し、業務上横領の疑いで岩沼署に告訴した。
容疑者は民間企業の役員経験などを買われて2019年6月に常務理事に就任した。

学校法人「捜査見守る」
容疑者の逮捕について、学校法人尚絅学院は「警察から連絡を受けたのは逮捕の事実だけ。今後の捜査を見守る」と冷静に受け止めた。
容疑者による横領発覚後の昨年11月、法人は学外の評議員を委員長とする再発防止策の検討委員会を開催。同12月に答申を受けて法人が具体策を策定し、教職員を対象に今月24、25日、説明会を開いた。
法人の担当者は「ガバナンス(組織統治)や学内の事務手続きなど、改善すべき点は多岐にわたる。文部科学省に報告しながら進めている」と話した。
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