(507)永い道草いつしか雪のくる匂い/藤野武(1947年~)
用の途中で道草を食っていると、つんと雪が降り出しそうな香りがしました。本当の雪の匂いは分かりませんが、乾燥した空気や冷えゆく気温を気配として感じたのかもしれません。しかし「永い」という期間を捉え直すと、抽象的な味わいが深まります。人生のうちの永い期間に、道草のような時間があったとして、当人はなかな…
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「秀句の泉」は、俳句の魅力を伝えます。執筆は俳人の永瀬十悟さん(福島県須賀川市)、浅川芳直さん(宮城県名取市)、及川真梨子さん(岩手県奥州市)の3人。古典的な名句から現代俳句まで幅広く取り上げ、句の鑑賞や季語について解説します。