(509)もう泣かない電気毛布は裏切らない/神野紗希(1983年~)
あいみょんの「君はロックを聴かない」も槇原敬之の「もう恋なんてしない」も、歌詞を読むと、内容的には後ろに「けれども……」が省略されている。その伝でいくと、この句、また泣いてしまうかもしれないし、泣きたいときにくるまる電気毛布のせいで低温火傷(やけど)をしてしまうかもしれない。俳句は省略の文芸。ネガ…
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「秀句の泉」は、俳句の魅力を伝えます。執筆は俳人の永瀬十悟さん(福島県須賀川市)、浅川芳直さん(宮城県名取市)、及川真梨子さん(岩手県奥州市)の3人。古典的な名句から現代俳句まで幅広く取り上げ、句の鑑賞や季語について解説します。