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「避難優先」を説得 土地勘ない来訪者想定し訓練 課題洗い出し 石巻

日和山を目指して避難する参加者

 石巻市の石巻南浜津波復興祈念公園と周辺地区で11日、災害時に来訪者を安全に避難させる訓練が行われた。新型コロナウイルス禍で減少していた同公園への来訪者が回復状況にあるのに加え、昨年4月に一般公開が始まった市震災遺構・門脇小への視察が今後、増えることが予想されることから、土地勘のない人への避難誘導などの対応を実践し、課題や改善点を話し合った。

 訓練は公益社団法人3・11メモリアルネットワークと同地区の「かどのわき町内会」との共催で2020年に始まった。今年は、同祈念公園を運営する参加型運営協議会も共催に加わり、3団体から計約50人が参加した。

 祈念公園内にある「みやぎ東日本大震災津波伝承館」の見学者、公園に植樹に訪れていた岐阜県の中学校の生徒-を避難させるなど複数の想定で訓練に当たった。

 このうち植樹チームは、松苗の植樹をしているときに地震が発生。すぐに、その場にしゃがみ、地震が収まるのを待った。生徒役が「母親と連絡が取れない」などと口にした不安をなだめながら、ラジオから情報収集。「震源が宮城県沖で最大震度6」「60分後に6メートルの大津波が来襲」との情報を得て、即座に日和山への避難を開始した。

 避難途中に余震もあり、傾いたブロック塀や電信柱などに注意しながら進んだ。その際にも生徒役が「処方されている薬をバスに忘れた。取りに戻りたい」など、起きる可能性のある状況を再現。植樹指導者らは「避難が優先」と説得し、土地勘のある地元住民の案内で市桜坂高を目指した。

 その間にも「今夜の予想最低気温は零下5度」などの情報を入手。建物内への避難を目指した。避難に要した時間は22分だった。

 参加者からは「さまざまな想定をしておくことが必要」「海がない場所からや、子どもなどさまざまな人が訪れる。万が一の場合はすぐに高台に避難することを伝えておくことが大切」などの声があった。

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