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卒業式マスクあり? なし? 実態に即した対応、各校苦慮

昨年3月に石巻市蛇田小であった卒業式。マスク着用を巡り、各校の対応は分かれそうだ

 今春実施される小中高校の卒業式でのマスク着用について、石巻地方の各校が対応を検討している。文部科学省は「児童生徒、教職員はマスクを外して出席することを基本とする」とし、県教委はこれに「本人、保護者の判断を尊重する」としている。

 3月13日以降にマスク着用を個人の判断に委ねるとする国の新指針の適用を前にした卒業式。「あり」「なし」の判断は対応が分かれそうだ。

<高校、不安排除へ着用も>

 文科省と県教委の方針では、来賓や保護者はマスクを着用。国歌・校歌の斉唱や合唱、複数の児童生徒による「呼びかけ」の際にはマスクを着ける-としている。

 石巻地方の高校卒業式は3月1日。マスク着用で進める石巻好文館は校歌・国歌の斉唱、吹奏楽部の祝賀演奏を計画し、卒業生176人と在校生全員の計567人が出席する。学校側は「部活動をはじめ活動が制限された学年。晴れの舞台を(不安なく)締めくくり、送り出したい」という。

 石巻工(生徒518人)は182人が卒業する。就職する生徒が約6割いて、卒業後に就職先で身体検査や研修が予定されている。式にはマスクを外して出席できるが「着脱はこうした事情を考慮して判断してほしい」と話す。教職員、来賓、保護者は着用する。

石巻、一律の対応は困難

 石巻市教委は「学校の規模が違い、一律の対応は難しい」として学校の実態に即した対応を認める通知を14日に市立小中高と幼稚園などに出した。

 大規模校の市蛇田中(生徒647人)は3月8日に卒業式を実施する。卒業生は211人。「生徒のコロナ感染が増えてきたので状況を見ながら判断していく」という。

 昨年10月の修学旅行前に感染者が増え、多くの生徒が参加できなくなるなど校内で感染が広がるリスクも体感している。同中3年の女子生徒は「マスクを外すのは給食の時ぐらいで、同級生の顔もよく分からない。卒業式ぐらいは外したいが、感染はまだ怖い。悩んでいる」と複雑な思いを口にする。

東松島、基本の考え「外す」

 東松島市教委は17日、国と県教委の方針に基づき、児童生徒と教職員は式典中にマスクを外すことを基本の考え方として市内全11小中学校に伝えた。

 強制はせず、児童生徒の着脱は本人と保護者の意向を尊重し、学校には生徒数や感染状況といった個別の事情に応じて判断してもらう考え。来賓と保護者は着用を基本とする。

 国歌や校歌斉唱など多くの参列者が同時に声を発する場面は着用を推奨するが、座席間が2メートル以上確保できる場合は不要とした。

 市教育部は「子どもたちも先生もまずは本人の判断を尊重したい。学校によって実情が違うと思うので判断を委ねる部分もある。子どもたちの間に分断を生まないようにしたい」と話す。

女川、声出さない場は不要

 女川町女川小(児童214人)と女川中(生徒104人)は、入退場や卒業証書授与など、声を出さない場面では外し、それ以外は着用して式典を進める方向で検討している。

 女川小の卒業式は新たな指針が適用される13日の後にあるが、中学はその前に開かれる。小中とも「その日の体調などもあるので全て指針通りになるかは分からない。今後の状況を見ながら、子どもたちにとって最も良い形になるよう対応する」と話している。

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