(524)春の夜やいやです駄目ですいけません/井伏鱒二(1898~1993年)
「冬の夜や」という別案もあるが、人肌恋しい冬の夜の場面設定より、のほほんとしたこっちの句案が、筆者は好きだ。小説『駅前旅館』で、登場人物の高沢がなじみの居酒屋の招き猫の鼻の下の寸法を測りだす。おかみさんが「あら高沢さん、いやですわ。駄目です、いけません」。その場面で高沢が即吟した句。「いやです」「…
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