(537)春月や書物崩るる中に棲む/鍵和田秞子(1932~2020年)
最初の五音にある季語が助詞の「や」で区切れています。一呼吸置いてから次の言葉を読むといいでしょう。月は一年中ありますが、季語となれば味わいも他の言葉への影響も大きく変わります。もし寒月なら真面目な本を持て余しているようですし、秋なら夜長にゆっくり読む本かもしれません。本は床に積まれたものでしょうか…
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- ・(536)ここから逃げたくて風船を離す/雪消ミスミ(2005年~)
- ・(535)春暁の火車洛陽を響かせり/董振華(1972年~)
- ・(534)ほめられて大きくなる子桃の花/浅井陽子(1944年~)
- ・(533)こいのぼりたなびく空に風光る/小野竹一(1947年~)
- ・(532)みなかみに逝きし獣の骨芽吹く/小田島渚(1973年~)
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「秀句の泉」は、俳句の魅力を伝えます。執筆は俳人の永瀬十悟さん(福島県須賀川市)、浅川芳直さん(宮城県名取市)、及川真梨子さん(岩手県奥州市)の3人。古典的な名句から現代俳句まで幅広く取り上げ、句の鑑賞や季語について解説します。