(532)みなかみに逝きし獣の骨芽吹く/小田島渚(1973年~)
「みなかみ」は川の上流。山奥で死んだ動物の骨から、樹木の芽が出てきたという。実際は骨の肉片や泥についた種からの芽吹きだろう。しかしこう書かれるとまるで動物が樹木に生まれ変わったようだ。厳しい自然の中での死と再生の物語に輪廻(りんね)転生を想(おも)う。その霊性は川の上流から下流へ、大海へとあまねく…
関連リンク
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