コンビニで人気の「白湯」 「天然水を温めただけ」懐疑論を覆した担当者の思いとは
コンビニのホットドリンクコーナーで最近、ペットボトルの「白湯(さゆ)」が並んでいるのを目にした人もいるかもしれない。東京新聞にも、読者から「白湯を販売したアイデアと挑戦力に感動した」との声が届いた。開発メーカーによると、想定の2倍を超える売れ行きという。「買って飲む」お湯は、どうやって生まれたのか。(東京新聞・須藤恵里)
開発したのは、飲料大手のアサヒ飲料(東京)。2022年11月から、ペットボトル「おいしい水 天然水 白湯」(340ミリリットル)を全国のコンビニなどで発売している。売れ行きは好調。発売から3カ月たった1月末時点で、既に計画の2倍を売り上げたという。
今シーズンの販売は4月まで。アサヒ飲料の広報担当者は「白湯がここまで売れるとは思っていなかった」と驚く。「最終的な実績を見て、来シーズンも販売するかどうか検討したい」と話す。
商品開発のきっかけは、コンビニに寄せられた客の声だった。「職場で薬を飲むとき白湯があれば」「外出先で買えたら便利」―。
社内では、「天然水を温めただけの商品が売れるのか」と懐疑的な意見が多かった。しかも、アサヒ飲料では過去に白湯の商品化に失敗した苦い記憶があった。14年に「富士山のバナジウム天然水 ホット」の商品名で売り出したものの、目標を達成できず一シーズンで終了した。
リベンジをかけ、開発を担当した鈴木慈(めぐみ)さんは「説得力のあるデータと、思い切ったイメージの刷新が必要だった」と振り返る。
ニーズを調べてみると、白湯を飲む人の割合が09年には1割だったのが、22年には6割に伸びていた。近年、健康や美容のために白湯が注目され始めたことが背景にあった。中でも「女性よりもコンビニの利用が多いとされる男性で、白湯を飲む比率が上がっているというデータが、商品化に踏み切る決定打だった」(鈴木さん)。
青が基調で、ミネラルウオーターをただ温めただけの印象だった前回のデザインも見直した。今回は温かみのあるオレンジ色にし、「お客さんに手に取ってもらえるのでは」と商品名を「白湯」に変えた。
購入者からは、「味のない温かい物を飲みたい時もある」「カフェインを控えたいから助かる」「朝に体を温めたい時に買う」といった反響が寄せられているという。
そもそも「水を買って飲む」という発想すら、かつての日本にはなかった。国内でミネラルウオーターが普及し始めたのは1980年代以降。日本ミネラルウォーター協会によると、ミネラルウオーターの国内生産量は、この40年間で40倍に増えた。
アサヒ飲料の広報担当者は「水がそうだったように、白湯の需要も増えていくだろう」と、新たな市場の開拓に手応えをつかんでいる。
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宮城県警 みやぎセキュリティメールより
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