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仙台市の災害時給水栓「断水時」に使えない? 市立小中高などに設置

 「仙台市の災害時給水栓は、いつ使えるのか」。青葉区台原地区の40代女性から「読者とともに 特別報道室」に疑問の声が寄せられた。2022年7月に同地区で水道管が破損して断水した時、指定避難所の災害時給水栓を利用できなかったためだ。取材を進めると、開栓には複数の条件を満たす必要があり、市民の認知度も低いという課題が浮かび上がった。

震度6弱以上、停電など要件

 「地域の方々だけで給水所を開設することができる。防災訓練などで手順を確認しておきましょう」

 今月の市広報誌「市政だより」に、災害時給水栓の紹介文が掲載された。情報を寄せた女性は「これを見たら、地域ですぐに使えると思うはずだ。でも使えなかった」と憤り「肝心な情報も載っていない」と指摘した。

 「肝心な情報」とは、断水時に使えないことだ。

 22年7月15日午前、青葉区台原5丁目の市道に埋設された水道管が壊れ、広範囲で断水した。指定避難所となっている台原小(青葉区)の校庭に災害時給水栓があり、同小には電話で「給水栓を開けられないか」との問い合わせもあった。

 千葉啓志教頭は「学校だけで開栓するかどうかを決定できない」と理解を求めたという。実際には災害時給水栓は水道管から給水するため、断水で利用できなかった。

 通水時が前提となる災害時給水栓。どんな時に使えるのか。市水道局によると、震度6弱以上の地震が市内で発生し、指定避難所が開設された場合、避難所を運営する町内会などが開栓する。土砂災害や豪雨災害、大規模停電も該当し、開栓の判断はケース・バイ・ケースという。

 22年の水道管破損では、現場に近い台原小の災害時給水栓が利用できなかったが、少し離れた上杉山中と北六番丁小(ともに青葉区)は通水していたため、同中と同小の給水栓を開けて対応した。

 災害時給水栓に関し、市水道局は「避難が長期化しても給水できる施設」と位置付ける。東日本大震災で避難所を給水して回る市職員が不足した経験を教訓に、町内会役員らで開栓できる施設が必要と判断した。

 市の狙いとは裏腹に認知度はいまひとつ。市が18年に実施した調査で、災害時給水栓を知っている市民は3割に満たなかった。

 千葉敏昭水道危機管理室長は「地域の防災訓練を通じて、どんな時に使えるのか周知させたい」と強調。市政だよりに漏れていた「断水時は使えない」との説明は、給水栓を紹介する文書に盛り込むことを検討する。(布施谷吉一)

台原小の校庭脇に設置されている災害時給水栓=仙台市青葉区

[災害時給水栓]仙台市水道局が2013年度から、指定避難所の市立小中高校を中心に設置を進めている。給水栓は青色に塗られ、敷地の隅などにある。防災備蓄倉庫にあるホースや仮設給水蛇口とつなぎ、ハンドルで開栓すると簡易給水所になる。23年2月末時点で165カ所に設置し、24年度末までに30カ所増やす。並行して給水栓とつなぐ水道管の耐震化を進め、管が破損して断水するリスクの低減を図っている。

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