タクシーの近距離乗車は迷惑? 目的地は1キロ先、運転手不機嫌に 仙台
「仙台市中心部でタクシーに乗車し、近距離の目的地を告げたら、運転手が不機嫌になって怖い思いをした」。精神疾患を抱える市内の女性から悩みが寄せられた。短い距離でも歩くと疲れてしまい、タクシーに頼らざるを得ないという。
うつ病の女性「乗るのが怖い」
青葉区の30代主婦は2022年5月、JR仙台駅西口近くで客待ちをしていたタクシーに乗った。平日の昼下がり。買い物をし、大きな荷物を持っていた。「目的地が近くてすみません」。1キロ余り離れた自宅の住所を告げると、年配の男性運転手は、黙って車を発進させた。
女性は長年、うつ病を患う。市中心部の診療所を受診する際、歩いて行ったことがあったが極度の疲労に襲われ、寝込んでしまった。以来、「やっぱり歩くのは無理」と通院や買い物でタクシーを使う。
運転手に「交差点を曲がってください」と頼んだが、ここでも返事はなかった。「私はそこまで嫌われることをしたのかしら」。到着して支払いをする時も終始無言。運転手は前を向いたまま、礼を言わずに走り去った。
昨年12月、上京してJR東京駅前でタクシーに乗った。「近距離ですみません」と前置きすると、すかさず「いいえ、大丈夫ですよ」。すがすがしい応対が心地よかった。
仙台市中心部では月に5、6回、タクシーを使うが、1、2回は運転手が不機嫌になったり、運転が荒かったりして怖い思いをする。「運転手によって応対が違うのはどうして」と女性は疑問を抱く。
市内の会社、接客マナー講習充実へ
宮城県タクシー協会仙台地区総支部よると、総支部は毎年、運転手の指導員を集めた会議で苦情内容を共有するなどし、接客マナー向上を図っている。それでも乗客らからの苦情が毎月、十数件寄せられる。障害者が乗車を拒まれたという報告もまれにあるという。
総支部の高沢雅哉支部長(60)=仙南タクシー社長=は女性への対応について、「運転手が不快な思いをさせたとしたら、同じ業界に身を置くものとして申し訳ない」と陳謝。「自分の会社では『優しい運転と優しい応対』をモットーとし、口を酸っぱくして指導している」と力説する。
燃料高などの影響で、市内のタクシー会社は早ければ6月以降、運賃改定を予定する。値上げによるタクシー離れを防ぐ意味合いもあり、総支部は接客マナー向上に向けた研修の充実などを検討しているという。
女性は「子育て中の女性や高齢者、身体障害者など、近距離でもタクシーを使う人はそれぞれの事情があるはず。気持ちよく乗れるように配慮してほしい」と求める。(喜田浩一)
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宮城県警 みやぎセキュリティメールより
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