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いしのまき食探見>タケノコ 春を告げる味、顔を出す

あかま里山農園のもみ殻がまかれた竹林。タケノコは50センチ程度に成長したものを収穫する
タケノコを保管する際は先端を下にする、横向きに並べるなどを推奨している

 海と山とで育まれる豊かな石巻地方の食材。伝わる文化と技を生かした郷土の「食」を紹介する。

タケノコ

 山里に本格的な春の到来を告げるタケノコの収穫が最盛期を迎えつつある。

 タケノコは根に近い部分に特に甘みがあるという。土佐煮や炊き込みご飯などじっくり火を通す料理は中ごろ、根の部分はきんぴらなどにし、先端はお吸い物やサラダといった繊細な味わいの料理がお薦めだ。カレーに入れてもシャキシャキした食感が楽しい。

 石巻市飯野絵図沢の「あかま里山農園」では収穫に加え、タケノコ掘り体験も始まった。竹林を昨年の倍に広げ、約60アール整備。表面にもみ殻を敷き詰めた柔らかい土で育てるのが特徴。掘りやすくなるだけでなく、保温や保湿に役立ち、養分にもなる。50センチ程度に成長したものを収穫する。甘みと柔らかさが味わえる。

 赤間祐子さん(62)は「作物を甘やかして育てるのが農園の方針。鮮度が大切なので収穫後はなるべく早くゆでてほしい。山と鍋が近いほどいい、とよく言っています」と笑う。

 切り取った根の部分から水分とともにうま味が流れ出てしまうため、保存する場合はできれば先端を下に、難しければ横にすることを推奨している。

 あく抜きは皮を全てむき、鍋に入る大きさに切って水から煮る。赤間さんは「沸騰してから1~2時間程度ゆでる。湯気の香りがおいしそうに変わったら食べ頃。スライスして、かつお節をかけたり、わさびしょうゆをつけたりしてもおいしい。本来の味を感じてもらいたい」と語る。
(藤本久子)

<メモ>
 あかま里山農園のタケノコはネット通販のほか、石巻市小船越の道の駅「上品の郷」でも販売している。タケノコ掘り体験は要予約。入園料800円で、1キロ当たり600円で持ち帰ることができる。連絡先は赤間さん080(2824)3373。

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