(562)呼吸ごとの肺の痛みも春の空気/マブソン青眼(1968年~)
フランス出身の俳人である作者。新型コロナウイルスに罹(かか)り、しばらくの間後遺症に悩まされたという。掲句は、先が見えない不安感と、暖かくなってきて快復(かいふく)への希望も感じる、複雑な「春の空気」であろう。「肺の痛み」には、身体的なものはもちろんだが、自粛を強いられるコロナ禍の精神的な閉塞(へ…
関連リンク
- ・(561)忘れ物の如く母ゐてあたたかし/今瀬剛一(1936年~)
- ・(560)春らんまん屋台の塩たんワンコイン/佐藤れおん(2005年~)
- ・(559)欄干に忘れし腕(かいな)花吹雪/山岸由佳(1977年~)
- ・(558)鶯や刀身先へ先へ反り/廣瀬直人(1929~2018年)
- ・(557)掃いてまた花の箒となりゐたり/西山睦(1946年~)
「秀句の泉」は、俳句の魅力を伝えます。執筆は俳人の永瀬十悟さん(福島県須賀川市)、浅川芳直さん(宮城県名取市)、及川真梨子さん(岩手県奥州市)の3人。古典的な名句から現代俳句まで幅広く取り上げ、句の鑑賞や季語について解説します。