(558)鶯や刀身先へ先へ反り/廣瀬直人(1929~2018年)
春の野山に鶯(うぐいす)の声が響きます。季節の初めは鳥の方も鳴き慣れていないようで、出だしの「ホ」の音が出なかったり、声の伸びがいまひとつだったりします。しかしこの句はきっときれいな歌声ですね。日本刀の鋼の部分が切っ先へゆくほどに美しく反るように、「ホーホケキョ」も伸びやかに聞こえます。かつては侍…
関連リンク
- ・(557)掃いてまた花の箒となりゐたり/西山睦(1946年~)
- ・(556)地震の話いつしか桃が咲く話/高野ムツオ(1947年~)
- ・(555)腰痛の足下ものの芽びつしりと/山尾玉藻(1944年~)
- ・(554)ゆで玉子剥けばかゞやく花曇/中村汀女(1900~1988年)
- ・(553)きぶし咲き山に水音還り来る/西山睦(1946年~)
「秀句の泉」は、俳句の魅力を伝えます。執筆は俳人の永瀬十悟さん(福島県須賀川市)、浅川芳直さん(宮城県名取市)、及川真梨子さん(岩手県奥州市)の3人。古典的な名句から現代俳句まで幅広く取り上げ、句の鑑賞や季語について解説します。