(559)欄干に忘れし腕(かいな)花吹雪/山岸由佳(1977年~)
「欄干」から、川沿いの桜並木を橋から眺める景が思い浮かぶ。桜並木が川沿いに多いのは、江戸時代に土手が決壊するのを防ぐため、多くの人が花見に訪れて土手を踏み固めてくれるのを期待したとの説がある。花見という庶民の娯楽を提供する一石二鳥の効果だったか。作者は欄干に腕をのせ凭(もた)れかかり桜を見ていたの…
関連リンク
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「秀句の泉」は、俳句の魅力を伝えます。執筆は俳人の永瀬十悟さん(福島県須賀川市)、浅川芳直さん(宮城県名取市)、及川真梨子さん(岩手県奥州市)の3人。古典的な名句から現代俳句まで幅広く取り上げ、句の鑑賞や季語について解説します。