戦後の農業復興に ウクライナ高官、石巻地方を視察 「かんがい復旧、生かせる」
ウクライナで農業政策を担う同国の政府高官ら5人が19日、東日本大震災で被災した石巻、東松島両市の農業施設などを視察した。ロシアによる侵攻が続く中、国際協力機構(JICA)が農業の復興政策に生かしてもらおうと招待した。
石巻市の長面排水機場では、県の担当者が大川地区の概要や被災状況などを説明。航空写真を示しながら震災直後から復旧、復興していく様子を解説し、地区で栽培する米や豆の収量、農業用水の配水方法などを説明した。
東松島市の農業生産法人「イグナルファーム」ではイチゴとキュウリの栽培棟を訪問。佐藤雄則社長や渥美巌市長らが出迎え、佐藤社長らから国などの補助金を活用して同法人を設立した経緯や栽培設備などの説明を受けた。
ウクライナは世界有数の小麦や大麦などの輸出国だが、ロシアの攻撃で多くの農業基盤が機能不全に陥っている。農業政策食料省のマルキヤン・ドゥミトラセヴィチ次官は「津波と被害面積の規模に驚いた。自然災害と戦争という違いはあるが、日本のかんがいシステムの復興はウクライナの農業地帯でも生かせると思う」と述べた。
JICAによると、ウクライナ政府高官が東日本大震災の被災地を訪問するのは初めて。一行は18、20日にも県内を視察し、仙台市や山元町を訪れた。
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