(566)裁ちばさみ開く重さや春の星/小島わこ(2005年~)
春の星というと、筆者にはスピカがまず思い浮かぶ。260光年を経て、この地球にはスピカの光が届いている。青白く神秘的な光をちょっと潤ませるような春のしっとりした空気の中で星は瞬く。ところで、裁ち鋏(ばさみ)の重さは、裁縫に慣れきっているとなかなか気付かないもの。星の潤みを際立たせるような春の夕べの空…
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「秀句の泉」は、俳句の魅力を伝えます。執筆は俳人の永瀬十悟さん(福島県須賀川市)、浅川芳直さん(宮城県名取市)、及川真梨子さん(岩手県奥州市)の3人。古典的な名句から現代俳句まで幅広く取り上げ、句の鑑賞や季語について解説します。