(568)鳴いてゐる亀の美声を疑はず/岡田一実(1976年~)
季語は「亀鳴く」。実際の亀には声帯器官はなく、想像上の情緒的な季語だ。しかし掲句は今まさに「鳴いてゐる」ので、作者は何かが鳴く声を確かに聴いている。亀が鳴くということ、それが美声であることを、二重に疑わずに信じている。常識ではありえないと言われることでも、自分の生の感覚を信じてそれを疑わない。作者…
関連リンク
- ・(567)誰もみな翼をたたみ潮干狩/遠藤由樹子(1957年~)
- ・(566)裁ちばさみ開く重さや春の星/小島わこ(2005年~)
- ・(565)切株は鳴らぬレコード鳥の恋/大畑善昭(1937年~)
- ・(564)傾きて花の総体こぼさざり/森川光郎(1926年~)
- ・(563)鳥雲に入りてその雲流れをり/八木澤高原(1907~1994年)