(569)鳥の戀(こい)解けて蚯蚓へ驀(まっしぐ)ら/高橋睦郎(1937年~)
春は動物たちの恋の季節。と、言葉にすると甘ったるいが、実際の恋はそんなに甘いものではないようだ。ほら、掲句をご覧あれ。「鳥の恋」の一語が読者にかけるロマンチックな魔法は一瞬で解けてしまう。恋の営みが終わった後、余韻に浸る間もなく鳥はハンターとして豹変(ひょうへん)、蚯蚓(みみず)へまっしぐら。動物…
関連リンク
- ・(568)鳴いてゐる亀の美声を疑はず/岡田一実(1976年~)
- ・(567)誰もみな翼をたたみ潮干狩/遠藤由樹子(1957年~)
- ・(566)裁ちばさみ開く重さや春の星/小島わこ(2005年~)
- ・(565)切株は鳴らぬレコード鳥の恋/大畑善昭(1937年~)
- ・(564)傾きて花の総体こぼさざり/森川光郎(1926年~)
「秀句の泉」は、俳句の魅力を伝えます。執筆は俳人の永瀬十悟さん(福島県須賀川市)、浅川芳直さん(宮城県名取市)、及川真梨子さん(岩手県奥州市)の3人。古典的な名句から現代俳句まで幅広く取り上げ、句の鑑賞や季語について解説します。