(575)夜の冷えの波のごと来ぬ遠蛙/一力五郎(1902~1947年)
晩春の服装選びは難しい。昼間は暑いのでシャツ1枚でもいいくらいだが、夜遅くに買い出しに行ったりすると寒い寒い。しかし、夜になっていきなり10度も気温が低下するわけではないだろう。冷えは波のようにひたひたとやってくる。その冷えの波にのって、いかにも春という感じの蛙(かえる)の声。のどかな蛙の声が、寒…
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「秀句の泉」は、俳句の魅力を伝えます。執筆は俳人の永瀬十悟さん(福島県須賀川市)、浅川芳直さん(宮城県名取市)、及川真梨子さん(岩手県奥州市)の3人。古典的な名句から現代俳句まで幅広く取り上げ、句の鑑賞や季語について解説します。