(573)摩天楼より新緑がパセリほど/鷹羽狩行(1930年~)
1969年のニューヨーク出張での句と言われています。当時最先端の超高層建築から覗(のぞ)いた地上では、初夏の新緑がパセリほどの大きさに見えたのでしょう。建物の横や下から見上げる視点ではなく、高い階から真下を見るという新しさを導入し、それまで見たことのない季語の姿を捉えています。パセリというのも新鮮…
関連リンク
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「秀句の泉」は、俳句の魅力を伝えます。執筆は俳人の永瀬十悟さん(福島県須賀川市)、浅川芳直さん(宮城県名取市)、及川真梨子さん(岩手県奥州市)の3人。古典的な名句から現代俳句まで幅広く取り上げ、句の鑑賞や季語について解説します。