(580)新緑の匙(さじ)より蜜の垂れにけり/森賀まり(1960年~)
庭や公園の新緑の中で、お茶か食事をしているのか。匙より垂れている蜜は蜂蜜だろう。しかし「新緑の匙より」と書かれると、まるで瑞々(みずみず)しい葉の木々自体が匙になっているようだ。そうだとすると、蜜は樹液に変貌する。そしてそれを舐(な)めるのは、カブトムシやクワガタムシなどの昆虫たち。若葉のあざやか…
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