響くアニソン「大人の文化祭」 本紙53歳記者、岩手・宮古のクラブイベントを体験
「ミヤクラ」なる催しが岩手県宮古市で時々開かれている。アニメソング(アニソン)を楽しむクラブイベント、いわゆる「アニクラ」で、アニメ文化を軸に地域の活性化を目指す「三陸宮古の明日を映す実行委員会」が主催する。記者は53歳。「コナン」と言えば「名探偵」ではなく「未来少年」で、アニメ知識は1980年代で止まっている。不安と好奇心を胸に参加してみた。(宮古支局・中島剛)

大音量でDJ、踊る参加者
4月22日土曜日、午後1時半オープンの約1時間前に会場のゲストハウス3710を訪れると、準備が着々と進んでいた。
「機材はほとんど自前で持ち寄りです」と会長を務める会社員三浦洋佑さん(30)が説明する。中心メンバーはホテル勤務、建設業、市職員、学生など約10人。それぞれの得意分野を生かし、イベントをもり立てる。
徐々に人が集まり、開場時刻には20人ほどになった。入場料は男性1500円、女性750円、18歳以下は無料。アニメキャラのシャツを着た人が目立つが、普通の格好の人も割といる。ドリンクを傾け、静かにたたずむ人が多い。「みんな初めはシャイなんです」と三浦さんが言う。
午後2時、DJが登場した。会場がいきなり大音量に包まれる。これは知っている。「ルパン三世」のテーマ曲だ。参加者が体を動かし始めた。
「手作り感がある」
DJはメンバー5人とゲスト1人が交代で務めた。自らが選び編集したアニソンを35分ずつ流す。壇上で機材を操り、身ぶりや手ぶり、時には掛け声で参加者をあおる。
ビールを片手に気持ちよく踊っている人がいた。宮古市の公務員佐々木崇秀さん(34)。「アニソンの楽しさを他の人と共有できるのがいい。宮古にこういう場所はなかなかない。大人の文化祭という感じ」とミヤクラの魅力を話す。
「ようやく来られた」と笑顔の星毅さん(39)は福島県塙町から訪れた。実行委とは交流サイト(SNS)で親しくなったという。「手作り感があって家族連れもいるし、いい雰囲気。塙でも開きたい」と語る。
ミヤクラは宮古の街を盛り上げようと、2015年4月に始めた。新型コロナウイルス禍による約3年の中断を経て、今年2月に再開。この日は復活してから2回目の開催だった。
あふれる幸福感
三浦さんは「誰でも気軽に来られる和やかなイベントづくりを心掛けている。アニメで宮古に人を呼び込みたい」と話す。実行委はオリジナルのキャラクターの漫画をSNSで発信したり、グッズの制作販売に取り組んだりもする。
「今日の選曲はディープだったかも。楽しめましたか」と三浦さん。約3時間流れ続けたアニソンの中で聞き覚えがあるのはルパンの他に2、3曲。所在なく感じたのは事実だ。
でも、参加者はみんな楽しげで、あふれる幸福感を少しはお裾分けしてもらえた気がする。聞けば宮古以外からの参加者も多いとか。ミヤクラがどんどん盛り上がれば、宮古に何かが生まれるかもしれない。
開催情報はミヤクラのツイッターで発信している。
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