(603)世界が終わるときも やさしき麦と大地/宇井十間(生年不詳)
あるいは、流行(はや)りの歌に見られるような聞こえがよく大げさな言葉が、俳句という形式に捉え直されることがあります。世界が終わりを歌う詩はこの世にいくつもありますが、夢のような想像の言葉として、雰囲気を楽しむことが多いです。しかし俳句は「あるいは本当にあるのでは」という実感が、季語を通じてそこはか…
関連リンク
- ・(602)ぶどうより柔らか雨蛙のおなか/神野紗希(1983年~)
- ・(601)戦争を知らぬ老人青芒/岸本尚毅(1961年~)
- ・(600)尺取虫老いは往ったり来たりする/武藤鉦ニ(1935~2021年)
- ・(599)太陽のゐ残る枝を下ろしけり/千葉皓史(1947年~)
- ・(598)風鈴を鳴らし只今換気中/仁平勝(1949年~)
「秀句の泉」は、俳句の魅力を伝えます。執筆は俳人の永瀬十悟さん(福島県須賀川市)、浅川芳直さん(宮城県名取市)、及川真梨子さん(岩手県奥州市)の3人。古典的な名句から現代俳句まで幅広く取り上げ、句の鑑賞や季語について解説します。