(604)若葉して御目の雫ぬぐはばや/松尾芭蕉(1644~1694年)
芭蕉が唐招提寺を訪れ鑑真和上坐(ざ)像を拝し詠んだ句。奈良時代に求めに応じ中国から来日を果たした鑑真。難破や失明の苦難をして6度目に成功。この日本最古の肖像彫刻は、師の姿をこの世に留めたいという弟子たちによって作られた。目を閉じた穏やかな表情に、不屈の精神が宿る。雫(しずく)は、人々の苦しみを憂う…
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「秀句の泉」は、俳句の魅力を伝えます。執筆は俳人の永瀬十悟さん(福島県須賀川市)、浅川芳直さん(宮城県名取市)、及川真梨子さん(岩手県奥州市)の3人。古典的な名句から現代俳句まで幅広く取り上げ、句の鑑賞や季語について解説します。