(638)山脈の脈より生まれ黒揚羽/高野ムツオ(1947年~)
揚羽蝶(あげ はちょう)の中でも、特に迫力ある黒揚羽を見ると何だか嬉(うれ)しくなる。翅(は)音などしないはずであるが、音が聞こえてきそうなくらい、パワフルな蝶だ。その蝶は、眼前の山並みのちょうど脈打っている部分から飛んできたのだろうか。だとすれば、山生まれである自分と同じだなあ。眼前の黒揚羽に自…
関連リンク
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「秀句の泉」は、俳句の魅力を伝えます。執筆は俳人の永瀬十悟さん(福島県須賀川市)、浅川芳直さん(宮城県名取市)、及川真梨子さん(岩手県奥州市)の3人。古典的な名句から現代俳句まで幅広く取り上げ、句の鑑賞や季語について解説します。