(634)寝たきりといへどほがらか葛桜/井出野浩貴(1965年~)
「葛(くず)桜」は、葛饅頭(まんじゅう)を桜の葉で包んだもので、暑中に冷して食べる。病気やけがで寝たきりは辛(つら)い。痛みや身体の不自由さからくる苦しみや悲しみが伴う。そのような状況でも食べることを楽しむ様子は、健啖(けんたん)家だった正岡子規を連想する。寝たきりの子規は『病牀六尺(びょうしょう…
関連リンク
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「秀句の泉」は、俳句の魅力を伝えます。執筆は俳人の永瀬十悟さん(福島県須賀川市)、浅川芳直さん(宮城県名取市)、及川真梨子さん(岩手県奥州市)の3人。古典的な名句から現代俳句まで幅広く取り上げ、句の鑑賞や季語について解説します。