(639)白百合や息を殺したあとの呼気/池田澄子(1936年~)
大人になってから息を殺していないな、とふと思いました。かくれんぼで音を立てないようにじっとする時、大嫌いな蜂が来て通り過ぎるのを待つ時、自分の呼吸音に気を配るのは、案外子どもの頃の方が多かったようです。久しぶりに息を殺してみましょう。息を止め、音が鳴らぬようにゆっくり吸い、少し止めた後長く長く吐き…
関連リンク
- ・(638)山脈の脈より生まれ黒揚羽/高野ムツオ(1947年~)
- ・(637)北へ来し人らの墓標夏ポプラ/五十嵐秀彦(1956年~)
- ・(636)夏痩せて舌いちまいの重さかな/國清辰也(1964年~)
- ・(635)五月雨や邪気払いとて正気散/仙厓義梵(せんがいぎぼん)(1750~1837年)
- ・(634)寝たきりといへどほがらか葛桜/井出野浩貴(1965年~)
「秀句の泉」は、俳句の魅力を伝えます。執筆は俳人の永瀬十悟さん(福島県須賀川市)、浅川芳直さん(宮城県名取市)、及川真梨子さん(岩手県奥州市)の3人。古典的な名句から現代俳句まで幅広く取り上げ、句の鑑賞や季語について解説します。