(640)水にもなれず月にもなれずくらげかな/村上喜代子(1943年~)
水族館の水槽に泳ぐクラゲを見ていて思い付いた句だろうか。水に溶けるように柔らかく海を漂い、月のような静かな光を体に透かせる。クラゲが水や月になろうとしていたという想像がロマンチックだ。水になろうとしてなれなかった、月になろうとしてなれなかった、それが今クラゲとして生きている。そう思うと、クラゲの美…
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