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被災地の書店・石巻まちの本棚、交流の場に 27日で10周年 図書館機能軸に展開

石巻まちの本棚を見学する東北大生グループ。震災後に誕生した街の本屋さんとして関心が高まっている

 石巻市中央2丁目の石巻まちの本棚が27日、オープンして10周年を迎える。東日本大震災で被災した市中心部に「街の本屋さん」として誕生、市民に憩いの場を提供すると同時に、文化交流の場として街に新たな活力をもたらしてきた。

 一般社団法人ISHINOMAKI2.0と、被災地に本を届ける活動をしてきた一箱本送り隊による共同プロジェクトで、かつて書店だったスペースを改修して2013年7月27日にオープンした。

 約40平方メートルの広さに自由に本を閲覧できるコーナー(蔵書約2000冊)と新刊・古本を販売するコーナーを併設。図書館と書店機能を兼ね備えたユニークな「本屋さん」として、市民の心の糧にもなった。

 震災後のコミュニティーづくりにも力を入れてきた。壁面を作品展示のギャラリーとして開放。「いしのまき本の教室」と題したトークイベントも定期的に開催し、全国から出版・書店関係者らを招き街の本屋さんの可能性を探ってきた。

 震災後の本屋さんとしての新しいスタイルに関心も広がっている。2日には東北大1、2年生10人が見学に訪れた。同大課外・ボランティア活動支援センター高橋結特任助教(33)は「被災した街に魅力を生みだしているまちの本棚に興味があった」と話す。

 現在は、土・日・月曜に開館(午前11時~午後6時)。4人のスタッフで運営している。ISHINOMAKI2.0理事で、オープン当初から関わってきた石巻まちの本棚マネジャーの勝邦義さん(40)は「いろいろな人たちに支えられて今がある。人とのつながりを大事にし、この場所にしかない固有の文化を、本を介して発信していきたい」と語る。

 まちの本棚が主催する一大イベント「石巻一箱古本市」(10月7日)開催に合わせて、10周年記念冊子を発行する計画もある。

石巻 まちの本棚

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