宮城県連続地震から20年 震度6が1日3度、教訓伝承 風化防止を
震度6クラスの揺れが1日に3度も襲った2003年の宮城県連続地震から26日で20年になる。675人が重軽傷を負い、住宅被害は約1万6000棟に上った。石巻地方では旧矢本、鳴瀬両町(現東松島市)、河南町(現石巻市)などで被害が広がった。8年後の11年3月の東日本大震災でさらに甚大な被害に遭った同地方。二つの地震での教訓の伝承、風化防止が次の災害への備えになる。
連続地震は03年7月26日に発生した。午前0時13分、午前7時13分、午後4時56分にいずれも震度6クラスに見舞われた。最大震度は本震とみられる午前7時13分に記録された6強。旧鳴瀬町では420戸が全壊、県内23市町(当時)で家屋被害が出た。旧鹿島台町(現大崎市)と旧南郷町(現美里町)を含め5町に災害救助法が適用され、計162戸の仮設住宅に、最大で500人が暮らした。
「連続地震の時は仮設住宅の開設やボランティアの受け入れ、がれき処理など初めての対応に苦労した。その分、震災時に役立った」と大沼雄吉さん(75)=東松島市小野=は振り返る。連続地震当時は旧鳴瀬町の総務課長で、05年に旧矢本町と合併し東松島市となってからは助役、副市長を務め、14年に退任した。
「二つの地震を語り継ぐとともに地域との連携、協力をもう一度確認し、強めていくことが必要ではないか。在宅避難者の把握、支援などに地域の力は欠かせない」。20年を機に、地域防災を思う。
石巻・広渕町上地区で訓練、避難行動など確認
宮城県連続地震20年に合わせ、石巻市広渕の広渕町上地区自主防災会では23日、大地震を想定した防災訓練が行われた。住民ら約50人が避難行動の確認や救命講習などに当たった。
新型コロナウイルス禍で中止が続き、訓練は4年ぶり。連続地震と同じ震度6の地震が発生したとの想定で実施した。住民は徒歩で広渕農業担い手センターに避難した。避難に当たっては火元を確認し、避難した目印として白いタオルを自宅の見える所に掲示した。石巻消防署河南出張所が協力した救命講習では心肺蘇生の方法や自動体外式除細動器(AED)の使い方を学んだ。
自主防災会によると、現在、広渕町上地区は312世帯に約420人が暮らしており、3割が東日本大震災の後に転居してきた人だという。
震災後に転居してきた70代女性は「地元で訓練ができるのは素晴らしいと思い夫婦で参加した。以前に学んだ倒れた人への対応を忘れていて緊張したが、再確認できた」と話した。
自主防災会の雫石利幸会長(70)は「できることは自分たちでやろうという訓練。広渕以外でも役に立つ内容なので、覚えて自信を持ってほしい」と語った。
参加者には長期保存できる食品などが配られた。訓練には市消防団広渕町班も協力した。
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