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わいどローカル編集局>前谷地(石巻市・河南地区)

BRTが乗り入れる前谷地駅

「わいどローカル編集局」は石巻地方の特定地域のニュースを集中発信します。8回目は「石巻市前谷地」です。

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駅前商店街、懐かしい風情

 石巻市前谷地は、JR前谷地駅のほか河南総合支所や金融機関、商店街などが並ぶエリア。国の名勝に指定されている斎藤氏庭園や龍口神社など、名所も点在する。6月末時点で約2600人が暮らしている。

 地域の玄関口である前谷地駅は石巻線(当時は仙北軽便鉄道)の開通に合わせ、1912(大正元)年10月28日に開業。気仙沼線も乗り入れ、東日本大震災を受けて導入されたバス高速輸送システム(BRT)の発着点となっている。前谷地-柳津間は気仙沼線・大船渡線で唯一、BRTと鉄道が並行して運行しており、足を運ぶ鉄道ファンも少なくない。

 前谷地駅を出ると、昔懐かしい商店街の風情が香る。かつては酒店、写真館、電気店、クリーニング店、果物店、鮮魚店など多彩な店が軒を連ね、商店会による祭りもあるなど活気に満ちていた。

 現在は空き店舗が目立つが、長年愛されてきた老舗に混じり、新しい店も増えてきた。のんびりと街歩きをしながら、店主との会話や買い物、食事を楽しめるのは商店街の魅力。気になった4店を訪ねてみた。

たていしストア

食料品やハンドメイド作品が並ぶ店内

<日用品ずらり、交流の場>

 今年5月にオープンしたばかり。食品、日用雑貨を扱う。店頭には、野菜やお菓子、洗剤などをはじめ、手作りのペンケースまで、さまざまな商品が並ぶ。

 店主の楯石千恵子さん(66)が明るく迎える。「地域活性化のために何かできないかと考えた」と話す。当初は交流サロンを計画していたが、昨年末に商店街にあった食料品店が閉店したことから、食品なども扱うことにした。

 地域の人がふらっと寄ってお茶を飲んで、会話を楽しんでいく。列車やBRTを待つ観光客の新しい居場所にもなっている。

 営業時間は午前10時~午後5時。日曜・祝日休。連絡先は090(7563)9855。

肉・惣菜ながおか

店内のショーケースには多彩な惣菜が並ぶ

<手作りの味、守り続ける>

 店主の永岡秀章さん(55)の母親で、学校の栄養士をしていたみゑ子さん(故人)が、商店街に精肉店がなかったことから約50年前に創業した。

 県内産の豚肉や仙台牛に加え、野菜サラダ、ロースカツなどの惣菜を販売する。手作りハンバーグはソースがたっぷりで食べ応えがある。

 前谷地駅への送迎のついでに購入する客が多いという。東松島市や登米市豊里から訪れる人もいる。

 みゑ子さんのレシピは全て目分量で、永岡さんは「数値化し、味を再現するのに苦労した。味が違うと言われないように、おいしさをキープしていきたい」と話す。

 営業時間は午前10時~午後7時。日曜定休。連絡先は0225(72)2101。

吉田屋

落ち着いた雰囲気の店内

<老舗の技、宅配弁当好評>

 1933年に創業し、今年90周年を迎える和食居酒屋。昼は弁当配達、夜は完全予約制の居酒屋として営業する。

 弁当は午前10時まで注文を受け、正午までに配達する。唐揚げ6個と副菜が入った「極みからあげ弁当」(600円)など1日160~180食を作る。土日祝は休み。

 夜は石巻の新鮮な魚介を使った刺し身や焼き魚など、旬の味覚を堪能できる。前谷地産の米を使用しているのがこだわりだ。料理長の吉田拓郎さん(48)は「前谷地で、料理と一緒に和の雰囲気を味わってもらえたら」と語る。

 居酒屋は午後5時半~午後10時、予約に応じて営業する。連絡先は0225(72)2036。

早川スポーツ

バットやグラブが所狭しと並ぶ店内

<早い納品に自信、修理も>

 店主の早川純一さん(72)の野球好きが高じ、1978年に開業したスポーツ用品店。

 店に入るとバットやグラブ、ユニホームがずらりと並ぶ。カタログからの取り寄せもでき、あらゆるスポーツに対応する。店頭での販売、修理のほか、学校や一般チームへの販売にも対応する。石巻地方ばかりではなく、仙台市や岩手県、福島県のチームにも納品しているという。

 ネット販売が台頭する中、早い納品に自信がある。配送業者がひっきりなしに出入りし、活気にあふれる。妻の寿枝さん(73)は「うちを選んで買いに来てくれるお客さんを大切にしていきたい」と語る。

 営業時間は午前9時半~午後6時。不定休。連絡先は0225(72)3778。

斎藤氏庭園

四季折々の美しい景色が楽しめる庭園

<非日常感じる四季折々の風景>

 門をくぐって進むと、緑に囲まれた非日常の空間が現れる。

 斎藤氏庭園は、近代の東北三大地主とされる斎藤氏の9代目当主善右衛門が、明治後期に整備した。約8000平方メートルの敷地には約80種類の樹木や四つの池、150年以上前に建てられたかやぶき屋根の家屋や土蔵などが配置され、背後の丘陵地まで一体空間として構成されているのが特徴。2005年に国の名勝に指定され、09年から市が管理する。

 春にはサクラ、初夏は新緑やアジサイ、秋の紅葉、冬の雪景色と、年間を通じて四季折々の豊かな表情を楽しめる。縁起物の亀のような形をした築山や鶴のようにも見える松には、事業繁栄の願いが込められていたのかもしれない。

 JR東日本の新幹線車内誌「トランヴェール」の7月号の特集で紹介されたばかりということもあり、遠方から足を運ぶ観光客も増えているという。

 東日本大震災の地震で園内全ての建物が被害を受けた。蔵の修理や家屋の屋根のふきかえなど、9年かけて修繕。昨年3月の福島沖地震でも灯籠8基が倒れるなどしたが今年5月に修復を終え、ようやく本来の庭園の姿を取り戻した。

 管理スタッフの男性は「季節ごとや、1日の時間帯によっても違った景色が楽しめる。時を忘れて園内巡りを楽しんでほしい」と話す。

蔵の一部は斎藤家の歴史や繁栄が垣間見える資料館になっている

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 今回は前谷地販売店と連携し、奥山優紀、石井季実穂の両記者が担当しました。次回は「石巻市飯野川」です。

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