(656)晩夏光河口の海にあらがへる/町田無鹿(1978年~)
川は海に流れ込む。だが海と川の境目は曖昧だ。行政的には海岸線と川が交わる所だが、堤防に立って見ていると、川にはどう見ても海水が流れ込んでいる。潮の満ち引きによってはかなり上流まで海水が上がっていくだろう。汽水域の鬩(せめ)ぎ合いを活写している。「晩夏光」、音読するとバンカコウ。硬い。「あらがへる」…
関連リンク
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「秀句の泉」は、俳句の魅力を伝えます。執筆は俳人の永瀬十悟さん(福島県須賀川市)、浅川芳直さん(宮城県名取市)、及川真梨子さん(岩手県奥州市)の3人。古典的な名句から現代俳句まで幅広く取り上げ、句の鑑賞や季語について解説します。