(652)手の中の鮎のふるへを子に渡す/高柳克弘(1980年~)
幼少期の生き物との出会いといえば、ペットや虫が多いだろう。生きた魚の記憶では、私は恵比寿(えびす)講のお供えの鮒(ふな)が印象深い。家では商売繁盛を願い、盥(たらい)に泳がせてから池に放していた。あるときその役を任されたが、幼心に生き物の躍動感とともに、畏(おそ)れの気持ちを感じたのを覚えている。…
関連リンク
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