(653)文鎮の龍てのひらに秋を待つ/西野結子(2002年~)
猛暑が続いている。現代の私たちとしては「秋を待つ」をとても切実に読んでしまう。この句の面白いのは、文鎮の龍(りゅう)(ゴジラ映画に出てくる怪獣に似ているのでアンギラスというらしい)も秋を心待ちにしているところ。龍は「春分に天に昇り、秋分に淵に潜む」と言われる。さしずめ人の手のひらの上が文鎮の龍が昇…
関連リンク
- ・(652)手の中の鮎のふるへを子に渡す/高柳克弘(1980年~)
- ・(651)ひと食ひし淵より螢湧きいづる/眞鍋呉夫(1920~2012年)
- ・(650)冷淡な頭の形氷水/星野立子(1903~1984年)
- ・(649)空蟬(うつせみ)に水溜りゐる山河かな/正木浩一(1942~1992年)
- ・(648)七月の水のかたまりだろうカバ/坪内稔典(1944年~)