(671)水鏡のタワマンに棲む海月たち/星野愛(1980年~)
夜、水槽に向き合う。水槽の照明を消すと、水槽は水鏡となって、闇に自分の姿が浮き上がる。透明な海月(くらげ)たちは漆黒に沈み、しかしそれまで通り音もなく蠢(うごめ)いている。タワマンと言えばグローバル資本主義の象徴であり、本物の月の鎮座する天へと近づく「バベルの塔」のようでもある。はなやかな都市生活…
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