(673)稲の香の溢れる道を夜勤明け/佐藤みね(1941年~)
句集のあとがきによると、この夜勤明けは娘さんで、稲の香は稲の花が咲いたときの甘い香りとのこと。娘さんをいたわり迎える母の愛情が伝わってくる。ところで稲の花を見た記憶がないので調べると、炎暑の昼の3時間ほどだけ白い糸のような花が開くようだ。それでは意識してじっと待っていないと出会えない。この間に受粉…
関連リンク
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「秀句の泉」は、俳句の魅力を伝えます。執筆は俳人の永瀬十悟さん(福島県須賀川市)、浅川芳直さん(宮城県名取市)、及川真梨子さん(岩手県奥州市)の3人。古典的な名句から現代俳句まで幅広く取り上げ、句の鑑賞や季語について解説します。