(689)嵯峨菊のたとへば筆の穂のみだれ/一力五郎(1902~1947年)
嵯峨菊は古典菊の一種。なるほど言い得て妙である。この句の魅力は、「嵯峨菊」をあくまで植物として捉えているところ。日本三大名菊と言われるが、「嵯峨天皇が……」とか「王朝文化の……」といった高貴性を一切無視して、「たとへば筆の穂のみだれ」とは。実にさっぱりしているところに読者としては驚きがある。掲句は…
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「秀句の泉」は、俳句の魅力を伝えます。執筆は俳人の永瀬十悟さん(福島県須賀川市)、浅川芳直さん(宮城県名取市)、及川真梨子さん(岩手県奥州市)の3人。古典的な名句から現代俳句まで幅広く取り上げ、句の鑑賞や季語について解説します。