(706)天の川青い鯨が泣いたとさ/柿本多映(1928年~)
「とさ」は、昔話の終わりによく聞かれるフレーズ。たった一行の俳句だが、子どもの頃に一つの物語を読み聞かせてもらったような想像が広がる。いま頭の上に広がる天の川は、「青い鯨」が泣いた涙の一滴一滴からできている。そうならば、青い鯨とは星々が漂う宇宙であり、私たちの住む地球も、宇宙の涙の一滴なのかもしれ…
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「秀句の泉」は、俳句の魅力を伝えます。執筆は俳人の永瀬十悟さん(福島県須賀川市)、浅川芳直さん(宮城県名取市)、及川真梨子さん(岩手県奥州市)の3人。古典的な名句から現代俳句まで幅広く取り上げ、句の鑑賞や季語について解説します。