(704)片襟の立つ少年や鰯雲/及川真梨子(1990年~)
「少年」。どことなく甘美な響きがある。あくまで言葉のイメージとしてだが、力強さと繊細さを持ち合わせた言葉だ。そして、この句の少年は凜々(りり)しさと可愛(かわ)いらしさをも備えている。制服の片襟が何かの拍子に立ったまま、キッと空を眺める少年。後ろに草原が広がっていれば、チンギス・ハンの少年時代はか…
関連リンク
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- ・(700)歩くとは心澄みゆく秋遍路/杉本光祥(1938年~)
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「秀句の泉」は、俳句の魅力を伝えます。執筆は俳人の永瀬十悟さん(福島県須賀川市)、浅川芳直さん(宮城県名取市)、及川真梨子さん(岩手県奥州市)の3人。古典的な名句から現代俳句まで幅広く取り上げ、句の鑑賞や季語について解説します。