(709)考へず深く睡(ねむ)らむ鉦叩(かねたたき)/黒田杏子(1938~2023年)
生前の黒田さんは、俳句の持つ力を信じ、それを伝えようと精力的に活動していた。また俳句を広めようとする人を応援し、さまざまな企画を立ち上げられた。多くの俳句大会の選者をし、周囲の人を手紙や電話で励まし続けた。悩み事は尽きなかったはずだが、夜には切り替えてぐっすり寝ようとしたのだろう。黒田さんには<ま…
関連リンク
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- ・(704)片襟の立つ少年や鰯雲/及川真梨子(1990年~)
「秀句の泉」は、俳句の魅力を伝えます。執筆は俳人の永瀬十悟さん(福島県須賀川市)、浅川芳直さん(宮城県名取市)、及川真梨子さん(岩手県奥州市)の3人。古典的な名句から現代俳句まで幅広く取り上げ、句の鑑賞や季語について解説します。