いしのまき食探見 > オリーブ 北限の特産化向け奮闘
海と山とで育まれる豊かな石巻地方の食材。伝わる文化と技を生かした郷土の「食」を紹介する。
オリーブ
旧約聖書にある「ノアの箱舟」の物語。神が起こした大洪水の後、地上に放ったハトがオリーブの枝を持ち帰り、ノアは洪水が去ったことを悟った。この神話から平和の象徴になったオリーブが、東日本大震災の津波で大打撃を受けた石巻で収穫時期を迎えている。
大川地区にある圃場の木に、鮮やかな緑の実が輝いていた。小雨が降る中、収穫する人々の顔に笑顔が見える。「今年は豊作だ」
石巻市は震災からの復興のシンボルとして「北限のオリーブ」の特産化を目指し、2014年に試験栽培をスタート。30本から始まったオリーブは現在、雄勝、北上、大川、網地島の4地区で約2000本が栽培されている。
手摘みした実を収穫から6時間以内にオリーブオイルに加工する。不作だった昨年度は市全体で約715キロを搾油。市農林課の担当によると、今年は1200キロ以上になる見込みだ。
オイルは実と同じく鮮やかな緑色。一休みしていた生産者から、パンに付けたり刺し身やアイスにかけたり…とさまざまな楽しみ方を教わった。口に含むとぴりりと辛い。食材との調和の妙が頭の中にふくらんだ。
市と生産者らは特産化に向け17年、研究会を組織。農業生産法人「宮城リスタ大川」の大槻幹夫会長(81)は「どこかがほころぶと全体が駄目になってしまう」と連携の重要性を述べた。実を餌に育てた「オリーブギンサケ」のブランド化や新たな商品展開など、生産者の奮闘は続く。
(西舘国絵)
<メモ>
市内では他にも一般社団法人雄勝花物語、NPO法人ジョイフル網地島などがオリーブを栽培している。リスタ大川と農事組合法人みのりが共同で製造するオリーブオイル「MinoResta」は36グラム2700円、92グラム5400円で近日販売予定。
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