(726)受け手なきボールを壁に秋の暮/二川茂徳(1940年~)
キャッチボールは野球の基本だが、相手がいないことにはできない。子どもの頃に少しでも上手になりたいと、近くの寺の石垣に向かってボール投げをしていたのを思い出す。住職も大目に見てくれて、早く帰れと言われるだけだった。秋の暮れは日の沈むのが早く、跳ね返ってくるボールが見づらくなる。一人での練習のうら寂し…
関連リンク
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「秀句の泉」は、俳句の魅力を伝えます。執筆は俳人の永瀬十悟さん(福島県須賀川市)、浅川芳直さん(宮城県名取市)、及川真梨子さん(岩手県奥州市)の3人。古典的な名句から現代俳句まで幅広く取り上げ、句の鑑賞や季語について解説します。