(727)月の人のひとりとならむ車椅子/角川源義(1917~1975年)
(A)作者が、車椅子で月の世界に昇ろうとしている。
(B)作者が、車椅子でお月見に加わろうとしている。
俳句的には(B)が標準的解釈。「月の人」はお月見の客と見る。でも、小説家の井上靖は(A)と取ってこの句を激賞した。俳句は短い。その切り詰めた表現ゆえに、幻想的な読みと常識的な読みの二面が生まれる。私…
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