(728)ふくらみが好きでたとへば榠樝の実/仙田洋子(1962年~)
ふくらみと聞くとどきどきする心があります。蕾(つぼみ)に春の訪れを感じたり、ポケットの中身に期待したり、柔らかな人の肌の魅力を想像したり。反対に自分の贅(ぜい)肉を連想して別のどきどきもあるかもしれません。豊かさを象徴する半面、言うにははばかられる小さな欲望にも結び付いている気がします。公然とそれ…
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「秀句の泉」は、俳句の魅力を伝えます。執筆は俳人の永瀬十悟さん(福島県須賀川市)、浅川芳直さん(宮城県名取市)、及川真梨子さん(岩手県奥州市)の3人。古典的な名句から現代俳句まで幅広く取り上げ、句の鑑賞や季語について解説します。