(729)疎開地や電灯開き村祭り/川名つぎお(1935年~)
戦中戦後に体験した学童疎開を回想しての句、「昭和二十二年秋」の前書きがある。戦時中は疎開した村でも灯火管制をしていた。終戦により、秋祭りが明るい電灯の下で行われたのだろう。戦争の世は、多感な少年にどう見えていたのか。随分と怖いことがあったはずだ。親元を離れての寂しい日々に、自然が慰めだったか。だが…
関連リンク
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- ・(725)水のあるしあわせ秋の燈が映る/佐々木とみ子(1932~2015年)
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「秀句の泉」は、俳句の魅力を伝えます。執筆は俳人の永瀬十悟さん(福島県須賀川市)、浅川芳直さん(宮城県名取市)、及川真梨子さん(岩手県奥州市)の3人。古典的な名句から現代俳句まで幅広く取り上げ、句の鑑賞や季語について解説します。