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石巻・十三浜でアワビ漁始まる 処理水風評影響で価格下落、出漁回数減らす浜も

水揚げしたアワビを選別する漁業者

 石巻市北上町十三浜地区で15日、今季のアワビ漁が始まった。今年は東京電力福島第1原発の処理水海洋放出の風評により、県産アワビの取引価格が例年より3割程度下落していることから、出漁の回数を減らす浜も出ている。漁業者は明け方から岩場近くなどの漁場に繰り出し、今後の漁模様を気に懸けながら操業した。

 十三浜大指の遠藤俊彦さん(49)は父俊郎さん(75)と、午前5時半ごろから操業。底にガラスを張った箱めがねで海底をのぞき、先にかぎの付いたさおを操り、アワビを引き上げた。

 県漁協関係者によると、10月末に石巻市の県漁協本所であった事前の値決め会で、取引価格は10キロ当たり平均約5万円と、前年の約8万円から落ち込んだ。

 さらに今季はマダコが大量発生し、アワビが食害を受けている。十三浜はワカメ養殖がメインでアワビ漁のみで生計を立てる漁師はいないが、例年より捕れず、処理水放出の余波で収入も減少するといった苦悩が重なる。

 この日、大指漁港では約240キロが水揚げされた。俊彦さんは「タコに食べられるだけでなく、エサの海藻も少ないのか、小さい個体が目立つ。波の状況を見ながら漁をするが、過去にないほど低調に終わってしまうだろう」と話した。

 水揚げされたアワビは石巻市をはじめ県内のスーパーや飲食店で扱われるほか、関東地方にも出荷され、刺し身やおせち料理として食べられる。大指漁港での漁は例年5、6回実施しているが、今年は初日を入れて3回になるという。

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