(745)葱を抜く地の冷えほつと空へ抜け/杉山久子(1966年~)
葉葱(ねぎ)はすぽっと抜いて収穫する。根深葱は鍬(くわ)で土を崩して収穫する。ということはこの葱は葉葱だろう。「ほつ」という擬態語がふさわしい可愛(かわい)らしさだ。葱の太さの分だけ、土の冷えも空へ抜ける。本当は土の中のほうが外気よりもあたたかそうな気がするが、こう言われてみると「地の冷え」が大地…
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「秀句の泉」は、俳句の魅力を伝えます。執筆は俳人の永瀬十悟さん(福島県須賀川市)、浅川芳直さん(宮城県名取市)、及川真梨子さん(岩手県奥州市)の3人。古典的な名句から現代俳句まで幅広く取り上げ、句の鑑賞や季語について解説します。